礼文島の雲海
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島をつなぐ、もう一つの海雲海の風景
霧がかかることの多い島、礼文島。
この霧は、可憐に咲く花々を優しく包み、色彩豊かな草原を育みます。
時に霧は、雲海となって島と島とをつなぎ、息をのむ絶景をつくりだします。
雲海のしくみ
礼文島の雲海は、冷たい空気が霧となって、海面の近くを流れてきた時に発生します。
礼文島では、この冷たい霧の層が標高200m以下にある時に見ることができます。
通常、気温は標高が高いほど下がり、寒くなります。
しかし、雲海が発生する日では、海の近くでは「肌寒く」、山の上では「暖かい」という、気温の逆転現象が起こっています。
礼文島では、北東のオホーツク海から海霧が流れてくることで起こります。
雲海を予想してみよう
2019年7月7日 桃岩展望台
雲海が発生した2019年7月30日を例にして解説します。
1. 天気図と衛星画像をみよう
オホーツク海の北に高気圧、日本海に低気圧がある、北東-高、西-低の時に発生します。
このような気圧配置のとき、オホーツク海で発生した『冷たい海霧』が、宗谷海峡を通って礼文にやってきます。
この『冷たい海霧』が雲海となり広がります。
2019年7月7日の気圧配置
2019年7月7日の衛星画像(拡大)
2019年7月7日、オホーツク海の北部に高気圧があり、そこからの冷たい風が、宗谷海峡を通り礼文島に吹いています。
気象衛星の画像では、雲(霧)が、宗谷海峡を通り礼文島に流れ込んできている様子が見られました。
2. 標高ごとの気温をチェック
雲海は、標高ごとの気温を調べるで予想することができます。
ワイオミング大学では、稚内市で測定したデータを公表しています。
2019年7月7日AM9:00 稚内市のエマグラム
このグラフは、標高ごとの気温、湿度、気圧を表したグラフ(名称:エマグラム)です。
全体的には標高が高くになるにつれ気温が低くなる傾向がみられます。
しかし、赤の〇の拡大部を見ると、気温グラフが“く”の字に折れ曲がっています。
これは、「下は寒く、上は暖かい」という『気温の逆転現象(逆転層)』の発生を示しています。
このような気温状態の時には、冷たい霧が低地に溜まるために、それを雲海として見ることができます。
このグラフからは、逆転層が約120mにあることがわかるため、雲海はそれ以上の標高(約120m以上)から見ることができると予想できます。
3.島の天気
出発前に、島の天気もチェックしましょう。
霧がかかり、風の弱い日に発生します。
早朝の気温が上がる前がチャンスです。
4.今日の天気や気温を調べてみよう
これまでに紹介した天気図や衛星画像、エマグラムは以下のリンク先から調べることができます。
- 天気図(気象庁ホームページ)
- 衛星画像(気象庁ホームページ)
- 標高ごとの気象グラフ「エマグラム」(ワイオミング大学)
*英語サイトです。調べ方は、次の説明を参考にしてください。
ワイオミング大学では、稚内で測定した気温データを1日に2回更新しています。
稚内で気象データを1日に2回測定しています。近い日時を選択して調べてください。
雲海を見にいこう
- 北東-高気圧で、西-低気圧
- 気温の逆転層がある
- 霧がかる微風の朝
雲海スポット
- 桃岩展望台 標高225m
- ツバメ山(通称) 標高233m
- 礼文林道コース(元地口より約1.1km地点) 標高200m
暗い霧の日でも、山には絶景が広がっているかもしれません。
このサイトを参考に、雲海ハイキングにチャレンジしてはいかがでしょうか。